- フットサル日本一経験者
- 元Fリーガー(ペスカドーラ町田)
- 自らが選手兼監督を務めるFC NAKAIを立ち上げ、YouTube番組「目指せ!Fの頂」が総再生回数400万超え。
フットサルにはサッカーでは見られない独特の戦術があります。
フットサル初心者の方もこの記事を読むことで、試合観戦するときの理解度が上がって楽しくなります。
「あ、いまパラレラした!」
とか
「なるほど相手チームはクワトロで攻めてくるか…」
とか戦術的なことがわかるとフットサルの面白さにはまります。
もちろん観戦だけでなく自分でプレーする際にもこの記事で書かれたことを意識すると1段も2段レベルがあがります。
この記事を読んでフットサルの戦術を頭に入れると、
あなたのことを初心者だと思っているフットサラーの方は
なんでそれ知ってるの?すごいじゃん!
と驚くと思います。
一つ一つを深く掘り下げるというよりわかりやすく概要を伝えられればと思います。
それではお付き合いください。
- フットサル初心者で戦術が全く分からない
- フットサルを始めたはいいけど、ピッチ上で迷子になってしまう
- 自分はプレーしないけどフットサルの試合観戦をより楽しみたい
フットサルの考え方【4つの局面】
フットサルの試合は大きく分けて、4つの局面があります。
このことを意識するとフットサルの戦術を理解するのに役立ちます。
基本的には以下の局面をぐるぐると繰り返すことで試合は進んでいきます。
- 定位置攻撃
-
相手陣形が整っている状況での攻撃
- 定位置守備
-
自分たちの陣形が整っている状況での守備
- 攻撃トランジション
-
守備→攻撃。ボールを奪ってから相手の陣形が整うまでのカウンター
- 守備トランジション
-
攻撃→守備。ボールを奪われてから自分たちの陣形が整うまでの被カウンター
トランジションとは?(詳細はここをクリック)
守備→攻撃もしくはその逆など、ボール保持チームが変わって組織的に整った状態からの移行段階のこと。
わかりやすく行っちゃえばカウンター。トランジションを制する者は試合を制するといっても過言ではない。
どんな実力差があるチーム相手でもトランジションで数回はチャンスが作れたりする。
基本フォーメーション
フットサルにおけるフォーメーションについてわかりやすく説明します。
攻撃の基本フォーメーション
サッカーでも4-4-2や4-2-3-1といったフォーメーション(システムともいう)攻撃のがあります。これは知っている人も多いと思いますが、フットサルでも似たような感じでフォーメーションがあるのをご存じでしょうか?
攻撃の基本フォーメーションは以下の2つがあります。
トップレベルのフットサルでも使用されるこれらのフォーメーションについて紹介していきます。
- 3-1
- 4-0
3-1
3-1は後ろに3人、前に1人を配置します。前方の一人はピヴォというポジションです。
キープ力のあるピヴォがいるときに有効です。
ピヴォにパスをして(ピヴォ当てと呼ぶ)ピヴォがうまくボールを収めることができればボールラインを大幅にアップすることができます。
シンプルながら奥が深く、トップレベルのチームでも採用されているフォーメーションです。
4-0(クワトロ)
4-0はピヴォを置かずに4人全員が後方に並びます。
4人が後ろに並ぶことで3-1のようにピヴォ当てをして一気に前進ということはできなくなりますが、その代わりに裏のスペースが空くため、後方から裏へとランニングしていくことで相手陣地に攻め込むことができます。
4人全員が連動して動く必要があるため、高いフットサル理解度が必要ですし、一人でも理解度が低いメンバーがいればうまく回りません。
強力なピヴォがいないチームはこのクワトロを採用します。
守備の基本フォーメーション(というより考え方)
フットサル守備は基本的に相手の攻撃ありきのものですので、ここではフォーメーションというより考え方をご紹介します。
大きく分けて以下の2つの概念があります。
- マンツーマン
- ゾーン
それぞれ説明します!
マンツーマン
フィールドプレイヤー4人がそれぞれ担当する「人」をマークして、その「人」の攻撃に対して守備をするという守り方。多くのチームで採用されている。マンツーマンのメリットはわかりやすく、責任の所在がはっきりすることです。
デメリットはそれぞれが自分のマーク+カバーリングの考えを持たなければ組織的に守ることができるず1vs1 ×4のような状態になってしまう点と相手の動きについていかなければいけないため、体力の消耗が激しい点です。
分かりやすいので迷ったらマンツーマンがおすすめです。
ゾーン
フィールドプレイヤー4人がそれぞれ人ではなくスペースを管理する守り方。それぞれが担当するエリアを決めて、そのエリアに入ってくる敵に対して守備をする守り方。
ゾーンディフェンスの代表的な形としてはボックスとダイヤがあります。
攻撃のグループ戦術【3人組、4人組】
3人組、4人組のグループ戦術のうち代表的なものをご紹介します!
細かく挙げればきりがないので、初心者の方はまずは以下の3つを覚えましょう!
- ヘドンド
- エイト
- エル
ヘドンド
「旋回」ともいいます!
ヘドンドは下の3枚でぐるっと回ることで相手ディフェンスの隙を作る戦術です。
競技フットサルでは定番中の定番です。
フィクソが左アラに出す→出した方と反対方向に広がる→逆アラがライン間に侵入
旋回後のパターン①
ライン間経由でピヴォ当て
旋回後のパターン②
ライン間経由で相手を真ん中にひきつける→リターン→大外の裏
他にもいろいろなパターンがありますはまずは基本の動きを覚えましょう!
エイト
エイトはもっとも有名なフットサル戦術の一つです。8の字を描くように後ろ3枚でぐるぐる旋回します。
しかし思考停止でやっても守備にハマるだけなので考えてプレーをする必要があります。
エイトをやろうとしてやるというより、結果的にエイトの動きになってたくらいの認識の方がうまくいくかもしれません。
エル
エルもフットサルの戦術の中でもかなり有名な戦術。
ピヴォ当てをつかって3人が連動して攻めます。
ピヴォ当て後にピヴォ当てした選手がセグンドに抜ける→空いたスペースに別の選手が走りここみピヴォはその選手にボールを落とす→シュートorセグンド。
文字より動画や画像の方が理解が速いです。
フットサルの肝ともいえる2人組の戦術
出し手と受け手の関係性でディフェンスラインを突破する二人組の戦術。二人組はポルトガル語でドゥアリダといいます。
二人組はフットサルを構成する重要な要素で、僕は二人組を極めることがフットサルを極めることと言っても過言ではないと思っています。
二人組も突き詰めると本当に奥が深いので、まずは以下の代表的なものを覚えましょう!
味方に「パラレラ!」と言われたらその動きができるように。何事もまずは知ることからです。
- パラレラ
- ディアゴナル
- ウンドイス
パラレラ
フットサルで最も有名な二人組の戦術の一つ。サイドでボールを持っている味方に対して、サイドラインと平行に走りこみ、サイドラインと平行に出されたボールを受ける動き。
ディアゴナル(ジャゴナウ)
サイドでボールを持っている味方から斜めに動き出してボールを受ける動き。ディアゴナルをたくさん通せるとボールを前進させることができるため、ゲームを優位に進められる。
ウンドイス(ワンツー)
サッカーでいうワン・ツーです。なぜかフットサルではウンドイス。ぎりぎりまでひきつけてから行うことで一気に2枚を置き去りにできる超有効な2人組の戦術。
個人戦術
個人戦術とはチーム全体で行う戦術ではなく選手個人のゲームにおいてどのようなプレーを選択していくかという技術選択能力です。
個人戦術は本当に重要です。一人一人の個人戦術のレベルが高いのが強いチーム。チーム戦術もグループ戦術もすべてこの個人戦術の土台の上に乗っかるものです。
個人的に個人戦術の点で日本トップクラスだと思う選手は元名古屋オーシャンズの西谷良介選手です。すでに引退してしまいましたが、ボールをもらう前の動きやトラップ時の駆け引きなど、相手が嫌がるプレーを常に選択し続けられる素晴らしい選手でした。
ここではフットサルの個人戦術の代表的なものを3つほど紹介して概要が伝えられればと思います!
フェイク
フットサルで一番基本的な個人戦術。裏に抜けるふりをして急激に止まるなどして相手との距離を作る受け方。初心者にありがちだがフェイクをしようと思ってするとうまくいかないので、裏に走ろうと思ったら相手がついてきた→キャンセルということをしたら結果的にフェイクになっていたというのが正しい。
コントロールオリエンタード
「コントロール・オリエンタード(Control Orientado)」とは、スペイン語で「方向づけをしたボールコントロール」の意味。味方からきたパスをただ足元に止めるのではなく、方向を変えたり、大きく動かしたりする個人戦術。サッカー、フットサル問わず、レベルの高い選手はこれを身に着けている。
トンパ
フットサル選手が良く使うフェイントの一つ。別名コントラピエ。パスをもらったときにボールを迎えに行き、そのまま迎えに行った方向にボールを相手に予測させて、トラップのタイミングで急激な方向転換をすること。トンと止めてパッと運ぶ。コントロールオリエンタードとセットで威力を発揮する技術。
セットプレー
フットサルのセットプレーはすごく重要度が高いです。約3割のゴールがこのセットプレーから生まれるとも言われます。
セットプレーは以下のようなプレーです。
- キックイン
- コーナーキック
- クリアランス
- PK
特に相手陣地でのキックインとコーナーキックは得点のチャンスなのでどのチームもサインプレーを仕込んで、得点を狙います。
セットプレーの細かい戦術面の話は長くなってしまうのでまた別の記事で解説します!
セットプレーの攻防はフットサルの見どころの一つです!
パワープレー
パワープレーは負けているチームが逆転するために行う戦術です。
フィールドプレイヤーがゴレイロのユニフォームを着て攻撃参加し、相手陣で5対4の数的有利の状況でボールを回して攻めるプレー。もしくは足元が得意なゴレイロがそのまま上がっていくこともあります。
チャンスを作ることができるが、ミスをするとがら空きのゴールにシュートを打たれてしまうという諸刃の剣。
パワープレーもツリーと呼ばれる形やボックス型、オーバーロードなどといったフォーメーションがあります。
詳細はまた別の記事で解説します!!
戦術をシンプルに理解するために重要な「受け手が示す」という考え方
フットサルの初心者がフットサルの戦術を覚え始めると「逆に下手になった?」と感じてしまうことがあります。
中途半端に戦術を覚えてしまったせいで、考えすぎてしまって思い切りがなくなったり、判断が悪くなったりするためです。
ここまで様々な戦術を紹介してきましたが、頭がごちゃごちゃしてきますよね?
そういった方は一度シンプルにフットサルをとらえてみてください。
過去に僕がした以下のツイートが多くの方に役立ったとの反応をいただけましたのでシェアさせていただきます。
フットサルをあまり難しく考えないほうがいいです。ピッチ上で起こることはすごく単純で「空いているスペースに移動する」という、めちゃくちゃシンプルなことです。誰かのミスを探せばミスはいくらでも出てきます。基本的に正解はないですから。いやどんな選択をしても正解になりますから。
中井健介選手
正解のプレーをしようとするんじゃなくて、自分からスペースを見つけて走りこむということをやってみましょう。そうすればそれが正解になります。
少し抽象的ですがフットサルの原理原則的な考え方として「受け手が示す」というものがあります。
パスの出し手と受け手という2人組では、「出し手が動いてほしいところに受け手が走る」のではなく「受け手が欲しいところに動いて出し手がそれに合わせる」という考え方で行く方がうまくいきます。
味方の顔色をうかがって、「どうしてほしいんだろう?」と考えるより、「ここに出せ!」とメッセージを伝えて出し手それを受け取り、合わせるんです。その方が出し手もやりやすいんです。
僕もこれを理解するのに時間がかかったんですが、この概念が身についてからフットサルが少し楽になりました。
大丈夫です、最初はみんな混乱します
フットサルは独特の動き方をしなければいけないため、頭で理解するのも大変ですし、理解したとしても体がついてくるのはよりむずかしいです。
フットサル初心者が戦術を身につけて、それなりにフットサルらしい動き方ができるようになるには真剣にやっても2年くらいはかかります。僕も「なんかフットサルわかってきた!」となったのは本格的に始めてから2年たってからでした。
それまでは全然動き方がわからなくて、監督やチームメイトに怒鳴られていました。(笑)
焦らず、でもあきらめずに続けていけば着実に身についていきますよ!
このサイトでは数年前の僕のようなフットサル初心者に向けてフットサルの情報をなるべくわかりやすく解説しているので、「ピッチ上で迷子」になってしまう人はこのサイトの記事を隅から隅まで読んでくださいね!!
ここまで読んでいただきありがとうございました!